職員のケアの質を支える庭の役割
介護・医療の現場は、慢性的な人手不足と高いストレスにさらされています。庭は利用者様のためだけの空間ではなく、日々ケアにあたる職員の心身を支え、結果として施設全体のケアの質を高める「環境の力」を持っています。
エビデンスに基づく離職・バーンアウト対策として。米国の病院看護師を対象にしたCordoza ら(2018, American Journal of Critical Care)のランダム化比較研究では、屋内の休憩室で過ごすよりも、庭での休憩を取った看護師の方がバーンアウト(情緒的消耗感・脱人格化)の症状が有意に軽減したことが報告されています。職員が日常的に緑に触れられる環境は、感覚的な効果にとどまらず、離職防止という経営課題にも応える設計といえます。
3つの視点でつくる働きやすい環境
① 緑のある動線でストレス軽減
- 送迎・巡回・休憩の動線に緑を配置する
- ほんの数秒の"自然との接触"が心を整える
- 移動そのものが小さなリフレッシュの時間になる設計
② 外気に触れられる休憩スペース
- 小さなテラス——短時間でも外気を感じられる場所
- 木陰のベンチ——夏でも快適に過ごせる休憩の定位置
- 風が抜ける場所——閉塞感のないリフレッシュ空間
③ 職員が誇りを持てる環境
- 「この施設は大切にされている」という実感
- それが離職率の低下にもつながる
- 見学者・ご家族への印象向上が、職員のモチベーションにも波及
よくあるご質問
庭は職員の働きやすさにどのように貢献しますか?
送迎・巡回・休憩の動線に緑を配置することで、ほんの数秒の自然との接触が心を整える効果があります。また、外気に触れられる小さなテラスや木陰のベンチなど、風が抜ける休憩スペースを設けることで、職員のストレス軽減につながります。
庭づくりは離職率の低下にもつながりますか?
「この施設は大切にされている」という実感を職員が持てる環境は、施設への愛着や誇りにつながります。職員のストレスは利用者様の生活にも直結するため、庭は職員の心を支える重要な環境として、間接的に離職率の低下にも寄与すると考えられます。
限られた予算でも職員向けの庭スペースはつくれますか?
はい。大掛かりな設備は不要です。送迎動線沿いの小さな植栽帯や、休憩時に座れるベンチ一つからでも十分な効果が期待できます。まずは現状の動線を見直すところからご提案しています。
参考文献
- Cordoza, M., Ulrich, R. S., Manulik, B. J., Gardiner, S. K., Fitzpatrick, P. S., Hazen, T. M., Mirka, A., & Perkins, R. S. (2018). Impact of nurses taking daily work breaks in a hospital garden on burnout. American Journal of Critical Care, 27(6), 508–512. PubMed
上記は本文中で言及したエビデンスの一次情報源です。詳細は各リンク先をご確認ください。
監修者コメント
飯沼伸久(1級造園施工管理技士・2級ビオトープ施工管理士)
「見学に来られるご家族は必ず庭を見ます。同じように、働く職員も毎日その庭を見ています。利用者様のための庭であると同時に、職員が誇りを持てる庭であることも、長く愛される施設づくりには欠かせません。」
職員が誇れる庭づくりも、
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