赤塚山公園「水の広場」:水・地形・造形が一体となったランドスケープデザイン

Case Study

取材・執筆:株式会社アトリエ アムニー代表取締役 飯沼伸久(1級造園施工管理技士・ビオトープ施工管理士 在籍/2008年創業) 

赤塚山公園「水の広場」
水・地形・造形が一体となったランドスケープデザイン

赤塚山公園「水の広場」の全景。浅い流水と木の根をモチーフにした有機的な地形 水の広場で水遊びを楽しむ親子連れの様子

愛知県豊川市の総合公園「赤塚山公園」内、ぎょぎょランド前に広がる「水の広場」。1993年(平成5年)の開園以来、30年以上にわたり地域の親子に愛され続けている水景施設です。設計は高野ランドスケーププランニング(斉藤 修 氏 他)。木々が大地に根を張る姿をモチーフとした曲線的な造形が、周囲の樹林や池、隣接する「ぎょぎょランド」と一体となったランドスケープを形成しています。

この場所がつくろうとしたのは「遊具を置く場所」ではなく、「子どもが自ら遊びを見つける風景」でした。浅く流れる水、ゆるやかな地形、自然石を思わせる造形、光や風、木陰——多様な自然要素の組み合わせが、遊び方を限定しない「オープンエンドな遊び」を生み出しています。

水を流す、せき止める、裸足で歩く、寝転ぶ、友達と追いかけ合う——。子どもたちは環境との関わりの中から、自ら遊びを創造していきます。
Overview

施設概要

乳幼児から小学生まで、多世代の親子が無料で利用できる水遊びスペース。夏季には市内外から多くの家族連れが訪れ、赤塚山公園を代表する人気エリアとなっています。

📍 所在地

愛知県豊川市市田町東堤上1番地30(赤塚山公園内)

🗓️ 開園

1993年(平成5年)7月

✏️ 設計

高野ランドスケーププランニング 斉藤 修 他

🔧 改修・リニューアル

2013年(平成25年)改修/2023年 開園30周年事業として再整備

👨‍👩‍👧 利用対象

乳幼児・幼児・小学生・保護者

💰 利用料金

無料

赤塚山公園全体の面積は約25ha。水の広場単独の面積・年間利用者数は公表資料に記載がありませんが、赤塚山公園は豊川市を代表する総合公園として年間を通じて多くの家族連れに利用されており、公園全体の利用実態は豊川市がPark-PFI事業の基礎資料として調査し、再整備計画にも活用されています。

Concept

「遊具を置く」のではなく、「風景をつくる」という発想

水の広場は、「遊具を置く場所」ではなく「子どもが自ら遊びを見つける風景」をつくることを目指して計画されました。

🌊

CONCEPT 01

遊びを限定しない風景

浅く流れる水、ゆるやかな地形、自然石を思わせる造形、光や風、木陰など、多様な自然要素の組み合わせが、遊び方を限定しない「オープンエンドな遊び」を生み出します。

🌳

CONCEPT 02

木の根モチーフの一体的造形

木々が大地に根を張る姿をモチーフとした曲線的な造形は、周囲の樹林や池、ぎょぎょランドと一体となったランドスケープを形成しています。

🖐️

CONCEPT 03

環境との関わりから生まれる創造

水を流す、せき止める、裸足で歩く、寝転ぶ、友達と追いかけ合う——子どもたちは環境との関わりの中から、自ら遊びを創造していきます。

遊具というモノを与えるのではなく、多様な自然要素が織りなす「風景」そのものを設計する——この発想が、30年以上経った今も色褪せない水の広場の魅力の核心にあります。

History

受け継がれてきた「改修」の歴史

開園から30年以上が経った今も色褪せない風景の背景には、当初デザインの世界観を守りながら重ねられてきた、2度の改修・整備がありました。

2013年(平成25年)改修

開園から20年を迎え、施設の老朽化に対応するための改修工事を実施。開園当時の造形施工会社の技術を受け継ぐ子会社・真崎造形が造形施工に携わり、当初デザインの世界観を損なうことなく補修・再生を行いました。

2022〜2023年 30周年リニューアル

公園開園30周年事業として全面リニューアルを実施。「木の根」をモチーフとしたデザインを継承しながら、新たな噴水や水景設備を整備し、「見る・触れる・遊ぶ」ことのできる水辺空間として再生しました。

継承という一貫した姿勢

単なる設備更新ではなく、「地域の子どもたちが親しんできた風景を未来へ受け継ぐ」こと。豊川市は、公園全体の魅力向上とにぎわい創出をこの姿勢のもとで図っています。

保育・幼児教育への示唆——「地域の記憶を育む風景」

赤塚山公園「水の広場」は、遊具中心ではなく「環境そのものが遊びを育む」ことを実現したランドスケープデザインの事例です。水・地形・植栽・造形が一体となった空間は、子どもたちの主体性や創造性、感覚統合を促し、年齢や発達に応じて多様な遊びを生み出します。30年以上にわたり地域の親子に愛され、世代を超えて利用され続けていることは、この場所が単なる水遊び場ではなく、「地域の記憶を育む風景」であることを物語っています。

Craftsmanship

設計者の思想を受け継ぐ、造形職人たちの技術

職人の手仕事によって仕上げられた水の広場の造形 改修を経て受け継がれてきた水の広場の造形の表情

「水の広場」の魅力は、設計だけでなく、それを形にした造形職人たちの技術にも支えられています。開園当初の造形制作では、ランドスケープデザインを立体的な空間へと具現化するため、多くの熟練した造形職人が携わりました。木の根を思わせる有機的な曲線や、水辺の自然な表情は、一つひとつ手仕事によって丁寧に仕上げられたものです。その制作には、モザイク造形を専門とする職人も参加し、素材の質感や色彩、自然な表情づくりに重要な役割を果たしました。

2013年の改修工事では、開園当時の造形施工会社の技術を受け継ぐ子会社である真崎造形が補修・修復工事に携わりました。元請施工ではありませんが、創設時の造形思想や施工技術を理解する立場から、オリジナルデザインを尊重しながら補修を行い、長年親しまれてきた景観の継承に貢献しています。

30年以上にわたり地域の子どもたちに愛され続けている背景には、世代を超えて受け継がれてきた造形技術と、「風景を残す」というものづくりの精神があります。

More Case Studies

環境そのものが遊びを育む場所を、
あなたの施設にも。

「水の広場」に象徴される、遊具に頼らず環境そのもので遊びを引き出すランドスケープデザインの考え方は、私たちが保育園・幼稚園・福祉施設の園庭・広場づくりでも大切にしている姿勢です。他の施工事例もあわせてご覧ください。

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Message from Our Expert

ビオトープ施工管理士・飯沼伸久より

赤塚山公園「水の広場」は、遊具を「置く」のではなく、水・地形・造形が一体となった環境そのものが子どもたちの遊びを引き出す、理想的なランドスケープデザインの一つだと感じています。裸足で地形の起伏を感じ、水を堰き止め、友達と追いかけ合う——そうした「オープンエンドな遊び」が生まれる風景を、私たちも保育園・幼稚園・福祉施設の園庭・広場づくりの現場で追求しています。水景・地形・造形を一体でデザインする園庭やコミュニティの広場づくりについて、ぜひお気軽にご相談ください。

ビオトープ施工管理士 / グッドデザイン賞・国土交通大臣賞受賞 株式会社アトリエアムニー代表 飯沼伸久