日本と生物多様性条約:批准から現在までの流れと、環境保全を担う資格の最前線

For Nursery & Kindergarten Teachers, and Everyone Who Cares About Nature

監修:株式会社アトリエ アムニー代表取締役 飯沼伸久(ビオトープ施工管理士2級・日本ビオトープ管理士会会員 在籍20年以上/2008年創業) 

1993年の批准から30年あまり——
日本の「生物多様性条約」の歩みをたどる

水と緑が織りなす、生物多様性を体現する湿地のビオトープ 子どもたちが花壇づくりを通じて自然と触れ合う様子

まちづくりや造園、そして教育・保育の現場でも「生物多様性」という言葉を耳にする機会が増えました。地球規模のこの環境課題は、国際条約という大きな枠組みから、園庭という身近な場所まで、実は一本の線でつながっています。

私・飯沼は、約20年前に「ビオトープ施工管理士2級」を取得し、日本ビオトープ管理士会の会員として研鑽を続けてきました。当時はまだ「ビオトープ」も「生物多様性」も、今ほど一般的な言葉ではありませんでしたが、自然の生態系を保護し、人と生きものが共生できる空間づくりが、これからのエクステリア・ランドスケープデザインに不可欠になると確信し、いち早く資格取得に至りました。

国際条約という大きな約束事が、30年をかけて、園庭という小さな場所にまで届き始めている。

本コラムでは、日本が生物多様性条約を批准した1993年から現在に至るまでの歩みを時系列で整理するとともに、教育・保育関係者の間で注目を集める「こども環境管理士」という資格についてもご紹介します。

Chapter 01

アトリエアムニーと「ビオトープ施工管理士」

本題に入る前に、少しだけ専門的な背景をご紹介します。株式会社アトリエアムニーの代表である飯沼は、公益財団法人 日本生態系協会が所管するまちづくり技術者の資格「ビオトープ施工管理士2級」を保持しており、全国の有資格者で構成される「日本ビオトープ管理士会」の会員でもあります。

🎓 ビオトープ施工管理士2級

約20年前に取得。エクステリアや造園において、自然の生態系を保護し、人間と生きものが共生できる空間づくりが不可欠になると確信し、いち早く取得に至りました。

🤝 日本ビオトープ管理士会

全国の有資格者で構成される会の会員として、生態系保全とまちづくりに関する学術的・実務的な知見を、20年以上にわたり継続的に研鑽しています。

🌿 所管:公益財団法人 日本生態系協会

ビオトープ施工管理士、そして次章でご紹介する「こども環境管理士」も同協会が所管しており、生態系保全に関わる人材育成を担っています。

この資格を通じて培った知見を、住宅のエクステリアやガーデンデザイン、地域の空間づくりに落とし込みながら、日本の生物多様性条約への取り組みの歴史も、実務者としての視点から見つめてきました。

Chapter 03

次世代へ自然をつなぐ「こども環境管理士」の誕生

生物多様性の保全は、法律や国家戦略といった大きな枠組みだけでなく、地域社会の足元の取り組みが不可欠です。そこで近年、制度として高く評価され、教育や保育の現場で注目を集めているのが「こども環境管理士」という資格です。

創設年 2007年
所管 公益財団法人 日本生態系協会(ビオトープ管理士と同じ)
主な対象者 保育士、幼稚園教諭、教育関係者、保護者など
目的 子どもたちが自然と触れ合い、豊かな感性や思考力、命を大切にする心を育むための「環境づくり」を実践できる人材の育成
🧑‍🏫

POINT 01

これまで問われてこなかった専門性

保育士や幼稚園教諭の試験では、自然環境や生物多様性に関する専門知識が深く問われることは多くありませんでした。しかし幼児期の日常的な自然体験は、人間形成において非常に重要です。

🌱

POINT 02

園庭に在来種をどう取り入れるか

取得することで、園庭に地域の在来種(木や草花)をどう取り入れるかを、専門的な視点から検討・実践できるようになります。

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POINT 03

「環境と子どものつながり」を意識した保育

子どもが安心して泥んこ遊びや虫探しができるビオトープ空間をどう作るか。「環境と子どものつながり」を意識した保育・教育を実践できるスペシャリストとして評価されます。

Conclusion

まとめ——専門知識を活かした持続可能な環境づくり

1993年の日本の生物多様性条約批准から約30年。「自然を保護する」という段階から、現在は「自然を回復させ、社会課題の解決に活かす(ネイチャーポジティブ)」という新たなフェーズへと進化しています。

国家戦略の実務への落とし込み

20年前に取得した「ビオトープ施工管理士」としての生態系の知識や技術を、住宅のエクステリアやガーデンデザイン、地域の空間づくりにしっかりと落とし込んでいます。

教育・保育現場への広がり

「こども環境管理士」のような資格が広がり、教育・保育の現場から子どもたちへ自然の大切さが直接受け継がれる仕組みができていることは、日本の環境保全における大きな希望です。

地域全体で進める環境づくり

美しい自然と共存するまちづくりは、専門家だけでなく、地域に関わるすべての人が手を取り合って進めるものです。

おわりに ── デザインの力で、人と自然が調和する環境を未来へ

これからもアトリエアムニーは、生物多様性条約が示す大きな理念を、住宅のエクステリアや園庭という身近な場所に落とし込みながら、「人と自然が調和する豊かな環境」を未来へつないでまいります。

From History to Practice

条約が示す理念は、
園庭でどう「生きた生態系」になるのか。

国際的な条約や国家戦略という大きな枠組みが、実際の園庭づくりの現場でどのように「本物のビオトープ」として形になるのか。国営・県営公園の実績をもとにした実践編もあわせてご覧ください。

園庭ビオトープの実践コラムを読む →
Message from Our Expert

ビオトープ施工管理士2級・飯沼伸久より

「生物多様性」という言葉は、1993年の条約批准当時にはまだ一般的ではありませんでした。しかし30年をかけて、国家戦略・法律・国際会議という大きな枠組みが整備され、いま「ネイチャーポジティブ」という新しい理念のもと、園庭のような身近な場所にまでその考え方が届き始めています。私自身、約20年前にビオトープ施工管理士2級を取得し、日本ビオトープ管理士会の一員として研鑽を続けてきました。これからも、条約が示す大きな理念を、住宅のエクステリアや地域の空間づくりという具体的な形に落とし込んでいきたいと思います。

ビオトープ施工管理士2級 / 株式会社アトリエアムニー代表 飯沼伸久