監修:株式会社アトリエ アムニー代表取締役 飯沼伸久(1級造園施工管理技士・ビオトープ施工管理士 在籍20年以上/2008年創業)
保育園や幼稚園の園庭改修を検討する際、経営者や園長先生を最も悩ませるのが「多額の費用(コスト)」です。カタログに掲載されている大型遊具をいくつか選ぶだけで、あっという間に数百万円、数千万円という見積もりになってしまうことも珍しくありません。
しかし、国土交通大臣賞やグッドデザイン賞の受賞歴を持つ「アトリエアムニー」の園庭づくりを紐解くと、予算を抑えながらも教育的価値を最大化するヒントが見えてきます。
「モノ(遊具)ではなくコト(環境とプロセス)を作る」——その発想の転換こそが、コスト面でも優れた園庭を生み出す。
本コラムでは、いきなり大規模な改修をしなくても始められる「無料〜数万円の診断」「約10万円からのシンボルツリー植樹」という手軽な第一歩と、アトリエアムニーの取り組み方がなぜ本格改修のコスト面でも優れているのか、その秘密を4つのポイントから、園長先生や保育者の方に向けて解説します。
一般的な園庭工事が高額になる最大の理由は、大型の既製品遊具(輸入遊具など)の本体代金とその設置費用です。アトリエアムニーの設計手法は、こうしたカタログの既製品に頼りません。代わりに主役となるのは、土を盛った「ちょっとした起伏(微地形)」、大きさが不揃いな「石」、流れる「水」、そして四季を感じる「樹木」です。
特殊な加工が施された金属やプラスチックの複合遊具に比べ、土、石、木材といった自然素材は部材コストを柔軟にコントロールできます。
決まった遊び方しかできない高価な遊具よりも、雨の日に水たまりができる土手や、泥の硬さが変わる地面といった「予測不可能な環境(余白)」のほうが、子どもたちの試行錯誤や主体性を強く引き出します。
規格化された既製品と違い、大きさや形が不揃いな石や地形は、子ども自身が使い方を発見する余地を残し、同じ予算でも体験の密度を高めます。
何百ヘクタールという広大な公園緑地で培われた「本物の自然のメカニズム」への理解を、園庭というミクロなスケールに落とし込むからこそ、既製品に頼らずとも安全で豊かな環境をつくることができます。
保育業界の設備投資において意外と知られていないのが、見えない中間コストの存在です。園庭改修を行う際、外部のコンサルタントやプロデュース会社を経由して施工業者を紹介されるケースがあり、業界の構造上、そこには紹介料などのマージンが含まれることが一般的です。有識者による監修やブランディングも、プロジェクトによっては価値ある選択の一つです。私たちアトリエアムニーは、そうした発注の仕方を否定するものではなく、限られた予算をできるだけ現場の材料や施工そのものに充てたいという考えから、設計から施工までを自らの手で一貫して行う体制を選んでいます。
POINT 01
コンサルタントやプロデュース会社を経由する構造上、紹介料などの見えないマージンが総工事費を押し上げる要因になりがちです。
POINT 02
有識者や著名な肩書きによる監修は、ブランドへの信頼性を高める一つの手法であり、それを重視した園庭づくりも存在します。私たちアトリエアムニーは、そうした発注のあり方を否定するものではなく、限られた予算をできるだけ多く現場の材料や施工そのものに充てたいという考えから、自社の技術者による直接施工にこだわっています。
POINT 03
アトリエアムニーは建設業許可を取得した施工業者です。設計だけを行い工事は他社に委ねる会社とは異なり、許可を持つ自社の職人が直接現場に入るからこそ、下請けを重ねる余計なマージンを挟まずに、責任を持って一貫施工が完結します。
POINT 04
私たちが大切にしているのは、資材業者や職人、造園・生態系の専門家と現場レベルで直接つながる「横のつながり」です。この実務的なネットワークが、質と価格の両方を実現する力になると考えています。
ここまで解説してきた「自社一貫体制」「横のつながり」が、実際の見積もりにどう表れるのか。部分改修の目安である150万円という同じ予算について、①アトリエアムニー(直接施工・自然素材)、②コンサルタントやプロデュース会社を経由する一般的な外部委託施工、③大手既製遊具メーカー(輸入代理店等)という3つの発注方法を例に、費用の内訳イメージを整理してみます。②や③の方法にも、規格化された安全性、スピード感、専門家の知見といった、それぞれならではの価値があります。ここでは方式の優劣を主張するのではなく、「支払った予算のうち、どれだけが現場の材料や施工そのものに使われるか」という費用構造の違いを、判断材料の一つとしてご紹介します。
※ 上記の現場投資割合・費用配分は、アトリエアムニーの過去実績と、造園・保育施設業界における一般的な発注構造(設計・プロデュース・輸入代理店を経由する場合の商流)をもとにした、当社独自の概算モデルです。数値は代表的なケースを分かりやすく示すための試算であり、業界全体を対象とした統計調査の結果ではありません。実際の現場投資割合は案件の規模・発注方法・業者ごとの体制により異なりますので、具体的な内訳は無料相談・お見積りにてご確認ください。
※本データは、建設業界の一般的な多重下請け構造や、輸入商材の標準的な流通マージン(原価率・諸経費率)の統計目安を基に、総予算150万円を想定して算出した弊社独自の推計モデルです。実際の現場投資割合は、各社の契約形態や案件規模により変動します。
※ここでの「現場投資割合」とは、総予算のうち「純粋な材料費(土・木・石・遊具原価)+現場で手を動かす職人の直接労務費」に充てられる割合を指します。
※1:一般的な建築・外構(造園)業界における設計・現場管理費の標準的な相場(工事費の10〜15%程度)を基準とし、自社一貫体制における妥当な経費割合として試算。
※2:一般的なコンサルティング企業・ITベンダー等の標準的なプロジェクト粗利益率・販管費率(25〜30%程度)をベースに試算。大手企業が介入する場合、さらに高率になる傾向があります。
※3:著名な有識者や大学教授等による監修・ネーミングライツは、一般的な知財ロイヤリティや顧問料の相場(プロジェクト規模の5〜10%程度)を基準に保守的に試算しています。
※4:一般的な建設業の元請け粗利率(20〜25%)に基づく標準的な推計です。
※5:残りの75%(112.5万円)を遊具の販売価格とした場合、輸入商材等の小売価格に対するマージン・流通コストの一般的な業界水準(約50%強)に基づき算出。
大切なのは「安いかどうか」だけでなく、「支払った予算がどこに向かうか」という視点です。同じ150万円でも、中間コストに消える割合が少ないほど、子どもたちの環境そのものへ多くの予算を振り向けることができます。
限られた予算内で無理をして一度にすべてを完成させようとすると、資金繰りを圧迫します。アムニーの園庭づくりは「完成した日がゴールではない」という考え方に基づいています。
まずはシンボルツリーと小さな土手だけを作る、次はビオトープを追加するなど、園の予算状況に合わせて数年がかりで段階的に庭を育てていくことが可能です。
ウリン材(アイアンウッド)のような高耐久の自然素材を選んでいますが、木や土などの自然素材は既製品と異なり、時間とともに変化し続けるからこそ、剪定・補植・除草といった定期的な手入れが欠かせません。自然素材だからこそ、メンテナンスが「不要」になるわけではないのです。しかし、その手入れの過程こそが子どもたちにとって「命あるものを大切にする」という最高の教育機会になり、時間が経つほどに植物が育ち、土が豊かになっていきます。
日々の保育の中での「落ち葉拾い」や「水やり」といった手入れ自体が教育活動(食育やパーマカルチャー)となるため、維持管理コストを「遊びの価値」へと転換できます。
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段階的に育てていく園庭の先には、地域の蝶や野鳥が立ち寄り、土壌微生物が循環する「生きた生態系」があります。国営・県営公園の生態系復元技術を園庭に応用する視点は、こちらのコラムで詳しく解説しています。
生物多様性保全の園庭ビオトープについて読む →「結局どこが一番安いのか」「相場はいくらなのか」——園長先生からよくいただくご質問にお答えします。
最も手軽なのは「園庭ポテンシャル診断」です。新しい遊具を購入せず、今ある環境の配置や動線を見直すだけで遊びの質を変えられるケースが多く、費用の目安は無料〜数万円です。
造園・保育環境のプロが実際に園を訪問し、今の園庭が持つ隠れた魅力や課題を診断するサービスです。不要なものを引き算する提案、地形と風土の読み解き、優先順位の整理を行います。費用の目安は無料〜数万円(交通費等は別途お問い合わせください)。
約10万円〜が目安です(樹種・大きさ・土壌改良の有無により変動します)。既製の小さな遊具を1つ買う予算で、その土地の気候に合った本物の樹木を1本、土壌改良から丁寧に定着させることができます。
大型の既製輸入遊具を組み合わせる一般的な工事では数百万円〜数千万円規模になることもあります。一方、地形と自然素材を主役にした設計、自社一貫施工による中間コストの排除、ワークショップ型施工、段階的投資という4つの戦略を組み合わせることで、同じ予算でもより高い教育的価値を実現できます。
はい。既製遊具に頼らず地形と自然素材を主役にし、自社一貫体制でコストを抑え、園と一緒に手を動かすプロセスを取り入れることで、限られた予算でも豊かな環境を段階的に育てていくことができます。まずは無料〜数万円の診断や、10万円からのシンボルツリー植樹といった小さな一歩から始めることが可能です。
「予算が少ないから、良い園庭は作れない」と諦める必要はありません。アトリエアムニーの取り組み方が教えてくれるのは、「何千万円もする遊具を買ったり、コンサルタントに頼ったりしなくても、土と水と木、そして大人の関わり方次第で、最高の教育環境は作れる」という事実です。
高価な既製遊具ではなく、土・石・水・樹木を主役にすることで、部材コストを柔軟にコントロールしながら「余白」の教育的価値を引き出します。
設計から施工までを自らの手で一貫して行うことで、見えない中間コストを排除し、予算の100%を子どもたちの環境へ投資します。
ワークショップ型の施工と段階的な投資という「時間の使い方」によって、施工費用を抑えながら園への愛着を育てていくことができます。
無料〜数万円の園庭ポテンシャル診断、約10万円からのシンボルツリー植樹。大きな決断をする前に、まずは手軽な一歩から「環境を育てる」感覚をつかんでいただけます。
地形と自然素材を主役にした園庭は、コストを抑えるだけでなく、蝶や野鳥が立ち寄る「生きたビオトープ」へと育っていきます。国営・県営公園の生態系復元技術を応用した園庭づくりの実践も、あわせてご覧ください。
生物多様性保全の園庭ビオトープコラムを読む →「園庭に予算をかけられない」というご相談を、私たちは数多くいただいてきました。しかし本当に大切なのは、遊具にいくら払うかではなく、限られた予算をどこに、どう使うかという「設計の思想」です。地形と自然素材を主役にし、自社一貫体制で中間コストを抑え、先生や子どもたちと一緒に手を動かすプロセスを取り入れる。この4つの工夫を組み合わせることで、既製品に頼らずとも、その園にしかない豊かな環境をつくることができます。私たちは建設業許可を保有する施工業者として、自社の技術者・職人による直接施工と、資材業者や職人との「横のつながり」を大切にしてきました。現場のネットワークこそが、信頼できる園庭づくりの土台だと考えています。「今の予算で、どんなことができる?」——そんな些細な疑問で構いません。無料〜数万円の診断や、10万円からのシンボルツリー植樹という小さな一歩からでも構いません。予算の制約を、ぜひ一緒にチャンスに変えていきましょう。
1級造園施工管理技士・ビオトープ施工管理士 / グッドデザイン賞・国土交通大臣賞受賞 株式会社アトリエアムニー代表 飯沼伸久