2001年からハードウッドの可能性に着目し、2008年の創業以来ウリンを提案し続けてきた先駆けの視点から、コロナ禍後に激変した世界の木材市場と、熱帯雨林保護・森林認証制度という"壁"の実情を読み解きます。
日本においてハードウッドが広く認知される以前の2001年。造園技術者である飯沼は、いち早くその優れた耐久性と自然素材としての魅力に着目し、自身の庭づくりや屋外空間の設計にハードウッドを組み込んできました。
まだハードウッドという言葉すら一般的でなかった時代に、その圧倒的な耐久性と自然素材ならではの魅力にいち早く着目。造園の現場で実際にハードウッドを使い、長期的な視点での庭づくりを模索してきました。
アトリエアムニー創業当初から、数ある木材の中でも最高峰の性能を持つ「ウリン」を強く推奨し、お客様への提案と実際の工事を積み重ねてきました。以来、日本におけるウリン・ハードウッド普及の「先駆け」として歩んでいます。
ウリンが持つ「薬剤処理なしで数十年腐らない」という特性は、高温多湿な日本の風土や、土と植物が接する過酷な造園環境において最適であり、長期的な視点で見れば最もお客様の利益にかなう素材だからです。私たちは、長年にわたり自然の素材と向き合い、数多くの心地よい空間を創り上げてきた自負があります。
かつて、ウリンの流通量が減少し価格が上昇し始めた際、日本の市場ではブラジル原産の「イタウバ」など、南米産ハードウッドが代替材として大きな注目を集めました。ウリンよりも安価で加工しやすい点が評価されたためです。
しかし、コロナ禍を境に世界の木材市場の状況は一変しました。世界的な木材需要のバランスが大きく崩れ、インフレや旺盛な建築需要を背景とする欧米諸国に対し、日本の輸入商社が「買い負け」する事態が常態化し始めたのです。その結果、イタウバをはじめとする南米産ハードウッドの日本への入荷量は極めて不安定になり、価格も大きく高騰しました。
現在エクステリア業界で起きているのは「原点回帰」の動きです。「代替材がここまで高騰し、価格差が縮まるのであれば、やはり実績と信頼のある最高品質の『ウリン』を選びたい」という考え方が広がっています。
妥協して高価な代替材を選ぶよりも、最初から一生モノであるウリンを選ぶという選択が、再び非常に合理的なものとなっているのです。
ウリンが常に品薄であり続ける背景には、原産国である東南アジア(主にインドネシアやマレーシアのボルネオ島など)の深刻な環境問題と、強固な熱帯雨林保護政策があります。東南アジアの熱帯雨林は、長年の商業伐採やパーム油農園の開発により急激に減少しました。
ウリンは成長が極めて遅く、直径数十センチになるまでに数百年を要するため、人工植林での短期間での再生が不可能です。この枯渇の危機に対し、両国政府は厳格な森林保護政策を実行しています。
原則として丸太や製材品の輸出を厳しく制限。合法証明を受けたごく一部の枠組みの中でのみ流通が許されています。
伐採枠の大幅な削減や輸出管理を強化し、貴重な資源の保護に努めています。両国とも、資源保護と持続可能性を最優先とした政策へと舵を切っています。
熱帯雨林の保護政策と並んで、現在の木材市場を語る上で欠かせないのがFSC(森林管理協議会)やPEFCといった国際的な「森林認証制度」の存在です。SDGsや環境保全の意識が世界的に高まる中、木材には「どこで、どのように伐採されたか」というトレーサビリティ(追跡可能性)が強く求められるようになりました。
実は、前述した日本の輸入商社が欧米に買い負けしている背景にも、この認証制度が深く関わっています。環境意識の高い欧米の行政や企業は、高くても「認証材」を優先して調達するルールを設けています。そのため、認証を取得しやすい南米産の人工林由来のハードウッドなどが、欧米の高値のオファーに吸い取られてしまい、日本に入ってきづらくなっているのです。
ウリンでFSCやPEFCなどの国際的な森林認証を取得することは極めて困難です。なぜならウリンは、人工的に計画植林された森ではなく、手つかずの天然の原生林(自然林)からのみ切り出されるからです。森林認証制度は本来「人が管理し、再生可能なサイクルを描ける森林」を評価する仕組みであるため、数百年かけて自然環境下で育つウリンの生態とは枠組みが合致しません。
現在日本に正規ルートで輸入されているウリンは、インドネシア政府のSVLK(木材合法性証明システム)など、各国の非常に厳しい輸出管理と審査をクリアし「合法的に伐採された」と認められたものだけです。国際的なエコラベル(FSCやPEFC)は貼られていなくとも、原産国の強固な規制の下で命を繋いでいる、奇跡のような天然資源なのです。
日本国内での流通を支えるのが「クリーンウッド法」です。正式名称「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」、通称クリーンウッド法は、合法的に伐採された木材や木材製品の流通・利用を促進するために2016年に成立、2017年に施行された日本国内の法律です。2023年には改正法が成立し、2025年4月からは、輸入や国産材の元売りを担う川上・水際の木材関連事業者に対して、木材の合法性確認や記録の作成・情報伝達がより厳格に義務づけられています。
私たちが調達するウリンも、原産国インドネシアでのSVLKによる合法性証明に加え、日本国内ではこのクリーンウッド法の枠組みに沿った確認を経て、はじめてお客様のもとへお届けできる木材となっています。国際的なエコラベルの有無だけでなく、原産国と輸入国、双方の法制度によって「合法性」が担保されている点も、ウリンを選ぶ上で知っておいていただきたいポイントです。
実際に現地サプライヤーから届く、ウリン材納材時の証明書類や製材の様子の一例です。インドネシア・マレーシア双方において、合法性が確認できる書類とともにウリン材が流通しています。
熱帯雨林の保護強化のトレンドは、今後さらに厳格化していくと予想されます。お金を出せばいくらでも買える時代はとうの昔に終わり、森林認証の枠組みを超えた天然のウリンは、今後ますます手に入りにくい「幻の木材」へとなっていくでしょう。一方で人工木(樹脂木材)という選択肢もありますが、天然木ならではの経年変化の美しさや重厚感、植物との調和を求める方にとって、ウリンに代わる素材は未だ存在しません。もう一つの視点として、国産材を熱処理で高耐久化する「サーモウッド」技術もありますが、これはウリンの代替というより、環境負荷や調達安定性を重視する方向けの別の選択肢と位置づけています。
だからこそ重要になるのが、「限りある貴重な天然資源であるウリンをどのように使い、いかに長持ちさせるか」という造園技術者としての確かな手腕です。創業当初からウリンの特性を知り尽くしているアトリエアムニーでは、単に木材として消費するのではなく、その高い耐久性を最大限に引き出す設計・施工を行っています。
ウリンが持つポテンシャルを損なわないよう、基礎や下地から構造そのものを設計。数十年単位で使い続けられることを前提とした施工を行います。
土と植物が接する過酷な造園環境だからこそ、水はけや植栽との調和を考慮した納まりが重要です。庭全体としての心地よさを追求します。
何百年もかけて育った貴重な木材をいただく以上、それ以上の期間、愛着を持って使い続けられるお庭やエクステリアへと昇華させることが、技術者の責任だと考えています。
コロナ禍を経て、世界市場での欧米への買い負けによる代替ハードウッドの高騰という現実が浮き彫りになりました。これにより、皮肉にもウリンという絶対的な王者の価値が再認識されています。FSCなどの認証の枠組みには収まりきらない原生林の恩恵であるウリンは、もはや気軽に使える安価な素材ではありません。しかし、だからこそ「本物」を求める方にとって、一生を共にするにふさわしい至高の素材であり続けます。
2001年からハードウッドの可能性を追求し続けてきた私たちは、これからも木材を取り巻く地球環境や世界情勢を冷静に見極めながら、お客様にとって真に価値のある「一生モノの屋外空間」をご提案し続けてまいります。素材選びの詳しい比較は天然木vs人工木の素材選びガイドでも解説していますので、あわせてご覧ください。
ウリンを取り巻く世界市場の動向がわかったところで、次は具体的な素材選びや費用感、デザインの知識まで。ウッドデッキづくりに必要な情報を、目的別のページにまとめています。
ウリンの品薄・価格高騰について、お問い合わせの多いご質問にお答えします。
コロナ禍を境に世界的な木材需要のバランスが崩れ、インフレや旺盛な建築需要を背景とする欧米諸国への「買い負け」が常態化しました。その結果、代替材だった南米産ハードウッド(イタウバなど)の入荷が不安定になり価格も高騰したため、実績と信頼のあるウリンを選ぶ「原点回帰」の動きが進んでいます。加えて原産国の熱帯雨林保護政策により、供給量自体が元々限られていることも大きな要因です。
ウリンは人工的に計画植林された森ではなく、手つかずの天然の原生林からのみ産出されるため、再生可能な植林サイクルを前提とするFSC・PEFC認証の枠組みとは構造的に合致せず、取得が極めて困難です。ただし、インドネシア政府のSVLK(木材合法性証明システム)など、原産国の厳格な審査をクリアし「合法的に伐採された」と認められたものだけが正規に流通しています。
クリーンウッド法(正式名称「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」)は、合法的に伐採された木材や木材製品の流通・利用を促進するための日本国内の法律で、2016年に成立、2017年に施行されました。2023年の改正法により2025年4月からは、輸入等を担う川上・水際の木材関連事業者に対して合法性確認等がより厳格に義務づけられています。私たちが調達するウリンも、原産国インドネシアでのSVLKによる合法性証明に加え、このクリーンウッド法の枠組みに沿った確認を経て、はじめて国内に流通しています。
以前はイタウバの方が安価で加工しやすいとされていましたが、コロナ後は南米産材も欧米への輸出優先や認証材需要により価格が高騰し、ウリンとの価格差が縮まっています。妥協して高騰した代替材を選ぶよりも、最初から実績と信頼のあるウリンを選ぶ方が、長期的な視点では合理的な選択になりつつあります。詳しい費用相場は費用と相場のページで解説していますので、あわせてご覧ください。
インドネシア・マレーシア両国政府による森林保護政策は今後さらに厳格化していくと予想されており、天然資源であるウリンの流通量は今後も限られたものになる可能性が高いです。だからこそ、限りある貴重な資源をどのように使い、いかに長く使い続けられる空間に仕上げるかという、設計・施工の技術が重要になります。
埼玉県鶴ヶ島市の埼玉アトリエ、宮城県仙台市の仙台アトリエを拠点に、ウリンをはじめとするハードウッドのご相談を承っています。ご相談・お見積りは完全無料。しつこい営業は一切いたしません。
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